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2015年12月に行われるFOMC(連邦公開市場委員会)に、今、世界が注目しています。米国がゼロ金利政策を解除して、利上げを行う可能性があるとされているからです。
1.そもそも利上げってどういうこと?
利上げとは、中央銀行が金利を引き上げることを言います。国の景気が過熱したり、物価の上昇率が高くインフレの懸念が強まったりすると、その国の中央銀行が政策金利(中央銀行が民間銀行に融資する際の金利)を引き上げます。
中央銀行が利上げに踏み切ると民間銀行の借入金利も上昇するため、企業は融資を受けにくくなり、設備投資が抑制されます。個人では住宅ローンなどの借入金利も上昇するため、金額の大きい買い物が抑制されます。
逆に景気が悪い時には金利を引き下げ、需要を掘り起こし景気の回復の手助けをします。
2.米国の利上げが今なぜ話題?
米国は現在実質的なゼロ金利政策を導入しています。本来異例の措置であるこのゼロ金利政策をおよそ7年ぶりに解除することになるからです。
2008年、リーマンショックに揺れた米国では景気下支えのため、事実上のゼロ金利政策を導入しました。その結果、低い金利を利用しドルを借り入れて金利の高い通貨や債券で運用する動きが広がりました。ばらまかれた緩和マネーは新興国にも流れ込み、新興国の景気を刺激して新興国バブルの一因となりました。
しかし現在の新興国経済の成長は減速傾向にあります。その中で、米国が利上げを行い米国に資金が回帰する動きが強まれば、新興国経済に更なる打撃を与えるのではないかと懸念されています。
3.米国の利上げはどうやって決まるの?
中央銀行にあたるFRBが定期的に開く、連邦公開市場委員会(FOMC)で決まります。
メンバーは12名で構成されており、FRBの7名の理事とニューヨーク連銀総裁が常任委員、残りの4つの席を各地区連銀の総裁が輪番で担当します。
FRBは法律により「物価の安定」と「雇用の最大化」という2つの使命を与えられています。その2つの使命を全うし、最適な状況に導くべく金融政策を決定します。
米国の物価の上昇率は力強さに欠けるものの、労働市場を表す指標は改善が続いており、FRBとしては異例のゼロ金利を早期に解除したいという思惑があるようです。そうすることで景気を刺激する「利下げ」の余地を確保することができ、次の金融危機への備えができるからです。
4.米国が利上げをするとどうなるの?
一般的に利上げが行われるとその国の通貨が買われる傾向があり、実際に米国で利上げがあった場合ドル買いが進むと言われています。
その反面、資源国・新興国通貨からは資金が引き揚げられると言われており、対ドル以外の通貨が円安に動くとは限らない可能性に留意が必要です。
利上げが実際に行われた場合、その後も継続的に利上げが続くのかどうかにマーケットの関心が移っていくものと想定されます。
※上記は一般論であり、マーケットの環境によって変化する可能性がございます。十分ご注意ください。
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