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2016年9月20日(火曜日)、21日(水曜日)に日銀金融政策決定会合が実施されます。
度々市場にサプライズを起こしてきた黒田日銀の政策ですが、当初掲げていた2年で2%の物価安定の目標を達成できていません。
今回の金融政策の決定会合では、これまでの金融政策(黒田バズーカ第一弾、第二弾、マイナス金利政策)について総括的な検証を行う、と前回の会合で表明されています。それに伴い金融政策の変更があるのかどうか、特に注目されています。
総括的な検証って?
9月5日(月曜日)の講演で、黒田総裁は「総括的な検証においては、【何が2%(物価目標)の実現を阻害したのか】、【マイナス金利付き量的・質的金融緩和】という2つのポイントにおいて、事実と理論に基づいて客観的な分析を行ったうえで、政策面で2%の物価安定の目標をできるだけ早期に実現するために何をすべきかを議論する。市場の一部で言われているような緩和の縮小という方向の議論ではない。」という旨のコメントをしています。
「総括的な検証」に伴い、政策の変更があるのか、変更があるのならどんな政策変更になるのかが焦点です。
今回の注目ポイントは?
検証の結果、
- 副作用が大きいとして緩和策の一部が撤回されるのか?
- 副作用を払拭するため別の手段を使うのか?
- 副作用は少ないと判断し政策の現状維持を決めるのか?
- 今までの政策とは全く異なる手段が導入されるのか?
特に現在−0.1%のマイナス金利が「総括的な検証」によってどう変わるのかに注目が集まっています。
市場参加者の間でも予想が定まっておらず、9月21日(水曜日)の発表前後は政策変更があっても現状維持でも相場の変動率が上昇するかもしれません。
9月21日(水曜日)の為替相場に要注目です。
これまでの政策のおさらい
黒田氏が日銀総裁に就任してからの決定会合では度々サプライズで相場が動いています。
これまでの代表的な政策変更時の相場を振り返ってみましょう。
黒田バズーカ第一弾
2013年4月4日 異次元緩和と呼ばれた大胆な金融緩和策の導入を決定
- (1)2年で前年比+2%の消費者物価指数上昇
- (2)2年で通貨供給量を倍増
- (3)ETF、J-REITの買い入れ額を大幅拡大
これらを一気に行うというもので、市場へのインパクトは大きく、円安、株高へと急角度で進行していきました。米ドル/円は1ヶ月半の間におよそ10円もの円安が進行しました。
2013年1月〜2013年5月 米ドル/円 日足チャート
黒田バズーカ第二弾
2014年10月31日 質的量的金融緩和の拡大
2014年10月の日銀金融政策決定会合において、事前予想では政策変更はないとの向きが大勢でした。しかし予想に反し、5対4の僅差で追加緩和が決定されました。
為替市場は即座に反応、米ドル/円は発表前の109円台からおよそ1ヶ月の間に119円台へと、約10円もの円安が進行しました。
2014年7月〜2014年12月 米ドル/円 日足チャート
追加緩和以降大幅な円安が続き、株高と相まって2015年6月には126円手前まで円安が進行しましたが、その後失速。中国経済の減速や原油安により、国内経済は同じ角度で回復していけず、物価目標である2%への道のりは険しくなっていきました。
サプライズだったマイナス金利政策導入
2016年1月29日 マイナス金利付き量的・質的金融緩和の導入を決定
マイナス金利政策とは、民間の銀行が日銀口座に預ける預金残高の一部にマイナス金利を適用するというものです。この政策におけるインパクトも、前述の異次元緩和と同等かそれ以上のものでした。しかし発表直後は円安が進行したものの、失速。マイナス金利政策の効果を疑問視する向きもあり、円安への原動力とはなりませんでした。
このマイナス金利については、大きな波紋を呼び、導入から半年以上も経過した今でも、市場の不透明感として残っています。金融市場がマイナス金利導入の効果について疑問視していることに対しての処方箋として、マイナス金利付き量的・質的金融緩和の「総括的な検証」を行うよう黒田総裁が執行部へ指示しました。
2015年10月〜2016年3月 米ドル/円 日足チャート
<ご参考>日銀金融政策決定会合の結果公表時間と政策内容について
日銀金融政策決定会合の結果発表の時間は決まっていません。いつ結果が発表されるのかにも要注目です。
発表想定時刻前後、流動性が低下する可能性があります。
流動性が著しく低下した場合には、スプレッドの拡大や、発表直後は配信レートが急激に変化する可能性もあります。
お客さまにおかれましては、十分ご留意くださいますようお願い申し上げます。
2016年発表時刻と政策内容
日付 | 時刻 | 政策内容 |
---|---|---|
1月29日 | 12時38分 | 「マイナス金利」 の導入決定 |
3月15日 | 12時35分 | 現状維持 |
4月28日 | 12時01分 | 現状維持 |
6月16日 | 11時45分 | 現状維持 |
7月29日 | 12時44分 | 金融緩和の強化 (ETF買入れ額の増額) |
9月21日 | ? | ? |
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